
通信制課程の卒業式が日立市シビックセンターにて、ご来賓、保護者、本校教職員のご臨席のもと厳粛な中にも通信制課程ならではの催しもあり、感動的な卒業式典が開催できましたこと心より、感謝申し上げます。有り難うございました。
開式の前に、ルミカさんのライブがあり、今”に至までの自らの生い立ちを話されての歌を聴き、ジーンと込み上げてくるものがありました。
毎年、毎年、通信制課程の卒業生謝辞では目頭が熱くなるドラマがあります。今年もそうでした。そこで、今年は藤原さんに許可を頂き掲載することにしました。
この謝辞を読んだ方で、まだ、進路が確定していない中学3年生は、是非本校通信制課程に入学をし、自らの道を切り開く確かな第一歩として頂けたらとの想いです。勇気を持ち、第一歩を踏み出しましょう。
謝辞
花のつぼみもほころび、春の訪れに心躍る今日の佳き日に、私たち百二十名は無事卒業の日を迎えることになりました。まずは、校長先生を始め、お世話になった諸先生方に心から御礼を申し上げます。
この明秀学園日立高等学校通信制課程に入学したのには一人一人それぞれに理由がありました。
私は中学生時代、小さな悪意と小さな不信から他人と接することが怖くなり、外に出ることさえ出来なくなりました。他人と会うことが怖い。他人だけでなく、自分さえ信じられない。どうして私なんかが生きているのだろう。いっそ消えてしまいたい。
毎朝布団に包まって考えるのはそんなことばかり。視野の狭い《中学生の私》には先のことなど考えられず、無駄に一日を過ごすばかりでした。
その頃の私はただ変わることが怖く、人の心は常に変わり続けているという事に気付かない振りをして目に見えないものに恐れを抱き続けていました。ですがいつまでも目を背け続けることは出来ず、心の中でくすぶっていた暗い感情にある時正面から向かい合いました。
「このままじゃいられない」私の中で何かがそう告げました。そして私は、「知り合いの誰もいないところで《私》をやり直してみたい」そう決意し、この学校に入学することにしました。
緊張しながら迎えた入学式。そこは私が望んだ通り、《今までの私》を知っている人が誰もいない場所でした。不思議と、不安よりも期待が心を占めていたように思います。そして、近くに座っていた一人の先輩に話しかけたことが、《高校生の私》が始まる小さくも大きな一歩でした。
通信制ならではの自由な環境は私に合っていたのか、あっという間に日々は過ぎていき、仲のいい先輩が増え、同学年の友達もでき、いつの間にか私の他人に対する怖さというものは薄れていました。
そのことに気づいた時、通信制という学校を選択したことはけして間違いなんかではなく、《私》にとってこの学校に入学することは「必然」だったのだと、そう強く思いました。
今となっては遠足やボーリング大会、野球応援、テーブルマナーなどの学校行事や授業の合間の友人たちとの談笑の時間、楽しい思い出ばかりが脳裏に浮かびます。しかし、辛く苦しい日々も勿論ありました。
その最も大きな出来事が大学受験です。
志望大学を決めた時、私は学校で提出するレポートの範囲でしかほとんど勉強をしておらず、受験生とは呼ぶに呼べない学力でした。
いっそ投げ出してしまいたい。そう思ったことは数え切れません。時には、この大学を目指すことは正しいのか、私のやりたいことに価値はあるのかと目的を見失ったこともあります。
その度にひたすらに努力して結果を出すしかないと、自身を激励し続けました。
届いた結果は苦いもので、第一志望の大学には合格出来ませんでした。ですが、その大学に受かることだけが、唯一の道では無いという事にそこで初めて気付き、夢を叶える為の別の道があることを知りました。そして、その別の道を歩むことの出来る大学に進学が決定し、四月からは新しい生活が始まります。
大学という新たな環境で、きっとまた私は成長できる。そのチャンスを得られたことが今はとても嬉しいです。四月から通うその大学で、自身の目指している職業に就く為の勉強を精一杯頑張ろうと思っています。

中学生の頃、人前はおろかクラスの中にいることさえ怖くなり、物事をマイナスにしか捉えることの出来なかった私が、高校に進んだことで視野を広げ、物事を多面的に見られるようになり、大学受験を乗り越え、こうして人前に立つことが出来るようになったのは紛れもなく、この学校とここで出会った全ての人たちのおかげです。
本日、私たちはそれぞれの道を歩き始めます。進学する人もいれば就職する人もあり、同じ学舎で学んだ私たち一人一人の目の前に、それぞれ別々の新たな道が開けています。
《あの頃の私たち》がいたからこそ、《今の私たち》があります。過去にあった全ての出来事が《今の私たち》を作り上げ、それは《未来の私たち》へと繋がっている、一人一人特別の道なのです。
東日本大震災からまもなく一年が経とうとしています。日本にとって激動となったこの一年は私たちに様々な影響を与え、自らが乗り越えなければならない壁に今一度向き合わせてくれました。
未来への不安は無いと言えば嘘になりますが、それ以上に私たちは希望を持って生きて行こうと思っています。もしかしたら自分の現状に満足出来ず、過去の決断が間違っていたのかもしれないと揺らぐ時が来るかもしれない。けれどもその時は変化を恐れず、私たちが自ら変わっていけばいい。私たちはもう、十分それができるはずです。
この明秀日立で培った数多くの経験はこれからも自身が揺らいだ時、力となってくれる。それがきっと、私たちそれぞれが後悔しない結果へと導いてくれるでしょう。
最後に、お世話になった校長先生をはじめ、いつも親身になって指導してくださった諸先生方、私を支えてくくれた大切な家族、そしてかけがえのない友人たちにもう一度心から深く感謝を申し上げ、卒業の謝辞と致します。
平成二十四年三月十日
平成二十三年度卒業生代表 藤原幸恵