終業式 講話(要旨)

今年は3・11東日本大震災、その後の原発事故による放射能汚染など不安を抱え、また、命を落とされた方、犠牲になられた方に、心よりお見舞いを申し上げます。
本校でも家が半壊以上の被害をうけた生徒は24名もいます。大なり、小なり全ての人が被災しました。
今年は,「少年の主張全国大会」で内閣総理大臣賞を授賞した「いわき市立勿来第二中学校3年健悟君」の作文を取り上げ、今年の締めくくりとします。
タイトルは『被災を乗り越えて』です。(掻い摘んで)

『止まない地震、真っ黒な空、工場の爆発の状況下で発令された緊急事態宣言。原発から三キロ圏内の双葉高校に勤務している父に,何度も、何度も電話しても繋がらない。父と会えたのは二日後の夜中だった。原発が爆発する中、寝食も忘れて父は生徒達を避難させていたのだそうです。
健悟君は「なぜ電話一本くれなかったのか」と父を責めた。父から返ってきた言葉は「大人になればわかる。」の一言だった。
原発が二度目の爆発を起こした事で家族会議をし、この地に留まるか否かを話し合った。両親は仕事のこと,祖父母は住み慣れた土地を離れたくなかった。家族の思いがバラバラだった。そんな中,突然、父が祖父に頭を下げ、「残っているガソリンで行ける所まで、息子を連れて逃げてくれるよう」お願いを始めた。首を縦に振らない祖父に、父が一語一語かみしめるかのようにゆっくりと話し始めた。

ご夫婦には,子供が授からず「日本中の名医を訪ね、体外受精でやっと息子が生まれた事。その母は,自らの命の危険を承知で健悟(息子)を生み、今もその後遺症で苦しんでいる。」その事実を健悟君は初めて知ったそうです。今まで自分自身の命について深く考えたことのなかった健悟君が、自分の命がどれほど重いものかを初めて感じた。と同時に、自分だけでなく、自分と同様に一人一人の命が同じように重いことも理解できた。

父の行動は、何としてでも尊い命を救おうとする強い心の表れであり,それが息子の命であるか、教え子の命かが違うだけということも理解でした。
今回の父の生き様は、僕に多くの事を気づかせてくれた。親の無償の愛と、時にはそれに代えてもやらねばならない使命が大人にはあるという事を・・・・。今、抱き始めた夢がある。それは人命を救助する医師へ道。』と言う内容の少年の主張でした。

皆さん、3・11発生時のこと思い出して下さい。私なりに振り返ってみます。
生徒が無事全員避難できたこと。避難してきた近隣者に対して、本校生徒の気配りに感心させられたこと。入学式までのWEBでの教員間の連絡網を立ち上げた対応の速さ。ガソリンも手に入らない状況の中でも学校に詰めていた先生方。図書館をいち早く開館できたのは,職員室の自分の机も資料が散乱しているにも拘わらず、いち早く生徒のために、散乱した本を整理したことなど,自分のことを差し置いても、生徒の為にという「想い」の教員力に励まされ、また、その仲間と仕事ができることを誇りに思う年でした。

お陰様で、秋には「発信」をテーマに文化祭が実施できたこと。体育祭では、生徒も教職員も一丸となり、心地よい汗を流せたこと。学校行事がスムーズに進んだのも依然でしたら「当たり前」。今は当たり前に出来ることに心底「感謝」の気持ちが湧き上がります。今,こうして2学期の終業式が迎えられることにも感謝の気持ちです。

先日、早朝の体育館を覗いてみましたら、玄関に靴が綺麗に並べられていました。運動部全体が、率先して実践しているとのこと。来年早々には、県新人大会には、男子サッカー部、ソフトテニス部、バスケットボール部が出場します。男子運動部も活躍しはじめています。
女子運動部は、どの部も伝統と実績があります。原点に立ち返り、来年は全国大会出場を目標に飛躍することを期待しています。

今年の漢字一文字に「絆」が選ばれました。
3・11の震災により、日本中が生き方を真剣に考えたことではないでしょうか。親子の絆、友との絆、師弟の絆がより深まればとの願いです。健悟君の作文にあった、「無償の愛」「信頼」が絆をより強固にする源ではないでしょうか。

明秀日立は、先生同士、先生と生徒、生徒同士の『絆=信頼関係』が、よき方向に、よき方向に向かっている気運を感じます。そのバロメーターとして、少子化でありながら、本校志願者は2500名を超え、昨年より250以上の応募者があったこともひとつの目安で大変嬉しい限りです。このことは、皆さん一人ひとりの教育諸活動が世間から評価されてのことです。大いに自分の学校を誇りに思い、さらに良き校風を作って行きましょう。

最後に、これから受験を控えている3年生は、一日たりとも疎かにしないでベストを尽くして下さい。「天は、乗り越えられない試練は与えない」と言います。1年先、
5年先、10年先を見据え、「一喜一憂しない」しっかりと目標に向かって堅実な歩みをお願いします。1.2年生も同様です。
どうぞ、健康に留意して、良いお年を迎えて下さい。